地球の周りには現在、推定で50万個もの人工物が飛び回っている。そのなかには確かに、わたしたちの携帯電話にGPSの信号を送ってくれているものもあれば、テレビにプレミアム番組を配信してくれているものもある。あるいは、科学者のハードディスクドライヴを最新の気候データや宇宙の神秘的な写真で満杯にしているものもある。だが、その99パーセント超は、実は単なる“ごみ”にすぎない。使用済みのロケットブースター、爆発した人工衛星、剥がれた塗料片といったものだ。米航空宇宙局(NASA)も米国防総省も、その大半について正体や場所を把握していない。その結果、宇宙空間に出るのは、まるでミラーを使わずに幹線道路に入るようなものになっている。しかも、そこでは、ほかの“クルマ”はすべて時速1,0000km以上の猛スピードで爆走している。