アメリカのように温帯に位置する国は、地球の平均気温が1℃上昇するごとに、GDPの1パーセントに相当するコストがのしかかる。上昇幅が1.5℃ですめば、2℃の場合にくらべて世界は20兆ドル豊かになるという予測もあるほどだ。ダイヤルを回してさらに1℃、2℃上昇させたら、コストはふくれあがる──環境崩壊の複利計算だ。3.7℃では551兆ドルにもなるという。世界に存在するすべての富の2倍近い。いまの調子で二酸化炭素の排出を続ければ、2100年には気温は4℃以上上がる。それにGDPの1パーセントを掛け算すると、ここ40年は世界全体で5パーセントに達していない経済成長がほぼ帳消しになる。