20世紀の米国では、スタートアップの一員が投資家に違法なことをやりたいといったら、クビになったはずですが、21世紀では、「うまくいった場合の市場規模は」などと返事があります。Uber(ウーバー)、Airbnb(エアビーアンドビー)、テスラ・モーターズなどは良い例です。現代では、既存企業を守るための社会ルールを破壊できるスタートアップに投資が集まるようになりました。米国では「レントシーキング」という言葉があります。ルール変更を求める力のことを指します。
大企業は政府の定めるルールや規制を活用し、市場を占有しています。そこでスタートアップは「確かに法律があるが、意味をなさない法律で、消費者は新たなビジネスモデルを望んでいる」と考えるわけです。大企業の社員がこのアイデアを取締役に話している状況を想像してみましょう。おそらく「君はクレイジーだ。そんなことをしたら逮捕されるぞ」と言われるでしょう。株主や千人・万人規模の従業員を抱える大企業ではリスクが大きすぎるのです。ほとんどの従業員も給料目当てで、生活のために出勤し帰宅します。だからリスクが受け入れられないのです。