ノーキャスリングチェスでは、キングをほかの駒の防護網(強力だがときに窮屈でもある要塞だ)の後ろに隠せるようにした「キャスリング」と呼ばれる手が廃止されている。また9種の変則チェスのうち5種は、ポーンの動きに変更を加えたものだ。例えば、「トルピード(魚雷)チェス」と呼ばれるルールでは、ポーンを通常のように1回目だけでなく、ゲーム全体を通じて1手で2マス進ませることができる。
このプロジェクトでAlphaZeroが出した結果を読み取る方法のひとつは、客観的な数字に目を向けてみることだろう。例えば引き分けについては、従来のルールよりもノーキャスリングチェスでプレイした場合のほうが少なくなった。
また、異なるルールを学習することにより、AlphaZeroが各駒に割り当てた価値には変化が現れた。従来のルールではポーン「1」に対してクイーンには「9.5」が割り当てられていたが、トルピードチェスでのクイーンは「7.1」となった。