パーク内でゲストの行動データを取得するために、私たちは「地磁気」による測定を実施することを決定した。これは地面から出る磁場の揺れを測定する技術で、建物などの障害物にぶつかると揺れて、場所ごとに固有の波紋(揺れ)が生じる。それぞれの波紋を事前に特定しておき、そのデータをスマートフォンの方位センサーやジャイロセンサー、加速度センサーと掛け合わせることで、ゲストの位置をかなり正確に把握することができる。
地磁気を用いる大きな利点は、パーク内に新たに機器を設置しなくてよいことだ。安全性とコストの問題もクリアでき、USJの世界観を守ることもできる。ビーコンに比べると精度面で泣き所があるものの、他の測位技術と比較して、人の密集度や屋内外のコンディションに干渉されにくいという特性も魅力的だった。