ハーヴァード大学とイェール大学の行動科学者からなる研究チームが2014年、“未来を救おう”と試みた。ちょっとしたゲーム理論の応用である。
まず研究チームは、大勢のヴォランティアを「世代」と名付けた5つのチームに分けた。第1世代に指定したプレイヤーには100ポイント(単位は「ユニット」)を与え、「自分の取り分として0〜20ユニットを確保し、残りを次の世代に渡してください」と伝えた。その世代の全員が自分の取り分を確保したあとに残ったユニット数が全部で50以上あれば、次の世代は100ユニットにリセットでき、最初からやり直せるという持続可能性モデルだった。残ったユニット数が50未満の場合、次世代はそのままのユニット数を受け取る。
いいニュースと悪いニュースのどちらから話すのがいいだろうか。いいニュースは、プレイヤーの3分の2は「協力者」であり、自分の取り分は10ユニット以下にして種の存続を確保した。悪いニュースは、少数の「離反者」が常にゲームを台無しにしたのである。
この「世代間財ゲーム(IGG)」を18ラウンドにわたって実施したところ、第1世代が節度を守り、第2世代が100ユニットにリセットして最初からやり直せたのは、わずか4ラウンドだけだった。そのうち第3世代をリセットさせたのは、2ラウンドだけだった。そして、誰も第4世代には到達しなかったのである。
持続可能な世界に向けて人々がどのような計画を立てるかテストするゲームだったが、確実にゲームオーヴァーにするために必要だったのは利己的な愚か者が数人だけだった。