母なる地球が視界から消えたときに抱く「孤独現象(ブレークオフ・フェノメノン)」と呼ばれる孤立感が、未来の宇宙旅行者の精神状態にいかなる影響を及ぼすのかは心理学者にも見当がつかない。

さらに、見えない地球との通信には45分ものタイムラグが生ずるという。宇宙での精神の健康問題を研究するNASAの行動保険およびパフォーマンスチーム(Behavioral Health and Performance Team)は、米国の放送局NBCの取材にこう答えている。「そのとき、人類ははじめて地球から完全に切り離されることになるでしょう」

1975年夏にNASAが専門家を招集し、人類の恒久的な宇宙定住についての議論をおこなって以来、研究者たちは常に「独我論症候群(ソリプシズム・シンドローム)」と呼ばれる精神状態について警鐘を鳴らしてきた。その状態に陥ると、現実が夢のように感じられ、孤独感にさいなまれた宇宙旅行者は自己破壊的な誤った行動をしがちになるという。この理論が正しいか間違っているか、火星はその最初の実証の場になるだろう。

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