美人と見れば人妻であろうと口説き、酒を飲みながら詩歌を吟じる人間臭い人物だったようだ。コンプレックスは、およそ7尺(約160cm)という身長の低さ。南宋時代の歴史書『世説新語』には、次のようなエピソードが記されている。
「ある時、西方の異国から使者が来た。曹操は自分の貧相な外見では舐められてしまうと、身体の大きい崔炎(さいえん)という部下を君主の座に座らせ自身は従者のように脇に控えていた。謁見が終わると、人を使い『魏王の印象はいかがでしたか』と使者に尋ねさせた。使者はこう答えたという。『魏王の体格の立派さには感服しました。ただ横にいた小柄な従者の威厳が気になります。あの方こそ百年に一度しか現れない偉人でしょう』。これを聞いた曹操は使者を警戒し、その日のうちに殺してしまった」