「12歳でベルリンの壁が崩壊したけれど、それまで自分に見えていた世界は、世界の本当にほんの一部だということがわかって衝撃を覚えた。東ドイツ時代は、海外で行ける国は多分10か15ぐらいで、いまは特別なビザの申請をしなくても159カ国に行ける。そして子どものころは、その10か15の国以外は、すべて敵だと教わっていた。学校でも親からもそう教わっていた。しかしベルリンの壁が崩壊すると、1年かそこらの間に東と西の境界が消え、法律も制度も変わった。するとどうだ? 誰も敵なんかじゃないし、世界はとてつもなく広い。『反対側に行ってみたい』『向こう側からこっちの世界を見てみたい』という気持ちは、その12歳の経験から生まれたんだろうな、と思う」