人狼ゲームはよく「嘘をつくゲームである」といわれるが、実態はそうではない。相手を信頼するかどうかを判断するゲームであり、相手を信頼させるゲームである。もし人間と人工知能がお互いに嘘をつく可能性があるとなると、自分が持つ情報がいかに正しいかを説得する必要が出てくる。すなわち、相手の言葉に嘘があるという前提に立った時点で、たとえ本当の情報を伝える場合でも、それが嘘ではないことを相手に納得させる材料が必要になるのである。その意味では、人狼ゲームにおいて人工知能が人間を打ち負かす日というのは、人工知能が嘘をつくかもしれないという前提を持った上で、なお人間が人工知能を信頼した時であると言えよう。