4月20日に数分間、1バレルの価格が史上初めてマイナスになったのだ。
米国は2年前から世界最大の原油産出国であり、その原油の大半はテキサス州内とメキシコ湾沖合の油井で採油されている。陸上における米国の原油のほとんどは、原油が低い透過性の岩の中に閉じ込められているシェール貯留層から産出されている。石油会社は原油を取り出すためにフラッキングとも呼ばれる水圧破砕法という技術を使い、地中深部にある岩に水やガスを注入して亀裂を生じさせる。
油井は通常、原油と水の混合物から汲み上げる。原油と水の両方をポンプで表面まで汲み上げるが、水は廃棄物として扱われる。油井を封鎖されると、太いパイプが岩石の亀裂から何も吸い上げなくなることから、原油と水の割合が変わってしまう。シェール油田の岩石は透過率があまり高くないので、亀裂に水がたまる可能性がある。
こうして再開した油井は、原油よりも水をたくさん出す結果になりかねない。たまった水が原油の動きを妨げるからだ。シェール油井は通常は低い利益率で操業されていることから、生産性がほんの少し低下しただけでも油井の採算がとれなくなる可能性がある。