「R」とは「実効再生産数」の意味で、感染症が人口全体にどれだけ広がるのか測定するために用いられる。
感染症のR値が1ということは、1人の感染者が平均で1人に直接感染させるという意味だ。
感染症のR値が1より大きい場合、多くの人に感染が拡大し続けることを意味する。新型コロナウイルスのR値が2だとすると、感染者1人がまだ感染していない2人に感染させることになる。したがって、最初に100人の感染者がいた場合、新たに200人が感染し、その後400人が感染することになる。
R値が2よりはるかに小さかったとしても、感染症はかなり急速に広まることになる。たとえばR値が1.2だとすると、最初の100人の感染者が新たに120人に感染させ、その120人が新たに144人に感染させ、その後173人、208人が感染することになる。4次感染の段階で、新たな感染者数が初期感染者の2倍になる。
この現象を、数学者は「指数関数的な増加」と呼ぶ。新型コロナウイルスの感染が、これほど急速に世界中に拡大した理由だ。
R値が1未満の場合、エピデミック(局地的な流行)は徐々に収まり、最終的には完全に消え去る。R値が0.7だとすると、100人の感染者から70人が感染し、その後49人、34人が感染する。したがって、R値が1を超えると厄介な事態だが、R値が1未満の値で小さければ小さいほど、わたしたちにとって好ましい状況となる。