新型コロナウイルスのアウトブレイクが発生した当初、科学者はウイルスの「基本再生産数(R0)」の計算に忙しかった。「R0」とは、ある感染症に対する免疫をもたない集団が初めて病原体に暴露した場合の感染症の感染力を示す。中国における新型コロナウイルスの感染力に関する初期の研究で示されたR0値は、2〜2.5だった。
比較のため例を挙げると、季節性インフルエンザのR0値はおよそ1.3、麻疹(はしか)のR0値は、はるかに高い12〜18だ。しかし、どちらの感染症にもワクチンがあるので、実際の再生産数であるR値ははるかに低くなる。