血液サンプルは、AbCelleraの研究室に運ばれることになる。そして、クレジットカードの大きさのマイクロ流体チップにセットされ、数百万個の白血球が1個ずつマイクロチャンバーに分離される。その後、それぞれの白血球は1時間ごとに撮影され、白血球が新型コロナウイルスを撃退するために生成する抗体を探し出すのだ。
「患者の血液サンプルの全細胞を数時間でチェックできます」と、AbCelleraの最高経営責任者(CEO)であるカール・ハンセンは言う。「患者1人のサンプルから、1日のスクリーニングで400の抗体をつくれるようになりました」
抗体とは、ウイルスやその他の異物を生体内から除去するために、免疫系がつくり出すたんぱく質のことだ。ワクチンは体内の免疫系を刺激して、侵入してくるウイルスに対する抗体の産生を促す。同じウイルスにまた攻撃されることがあった場合にも、この免疫力は有効になる。
ワクチンの効果は何年も続くが、その開発には長い時間がかかる。現在、COVID-19の原因ウイルスに対して使用できるワクチンはないが、ジョンソン・エンド・ジョンソンやマサチューセッツ州ケンブリッジのModernaといった製薬会社は、COVID-19のワクチンの開発に取り組んでいる。