梁琛の従兄梁奕は前秦に仕えており、苻堅は彼の邸宅に梁琛を泊めようとしたが、梁琛は「昔、諸葛瑾は呉の為に蜀を聘問しましたが、諸葛亮は公に会うのみで私的に交流することはありませんでした。私は密かにこれを慕っておりました。今、私室として安まる事は出来ても、これを使うわけにはいきません」と述べ、申し出を断った。苻堅はこれを聞き入れ、別の宿を用意した。その後、梁奕は幾度も梁琛の宿へ往来し、前燕の内部事情を探ろうとしたが、梁琛は「今、二国は共に拠り、兄弟として栄寵を蒙っております。この琛は燕にあり、兄上は秦にあり、本心は各々別の所にあります。琛が東国の美点を言えば、それは西国の恐れる所であり、逆もまた然りです。兄上はどうしてこのような問いをするのですか」と述べ、応じなかった。