無期刑の場合、15年から20年程度の服役で仮釈放が認められるといった誤解も蔓延しているが、あくまで2004年ころまでの話だ。2005年の刑法改正で有期刑の上限が20年から30年に引き上げられた影響や、昨今の厳罰化傾向もあって、この十数年は30年超が当たり前となっている。
しかも、仮釈放の審査にあたっては、1人ではなく複数の地方更生保護委員によって面接を行うほか、被害者や遺族に対する聴き取り調査、検察官に対する意見照会なども念入りに行っている。
そのため、無期刑による受刑者は例年末で1800人程度いるが、仮釈放が許可される者は例年10人程度、この10年間で89人、許可率は2割程度にとどまり、平均在所期間も約31~35年と、有期刑に比べてかなり狹い門になっているのが現実だ。
10年間で89人といっても、いったん仮釈放が許可されたものの取り消され、再び仮釈放が許可されたものが22人いるから、初めて仮釈放が許可されたものだけに絞ると実質的には67人だ。
もし許可されても、一生涯にわたって保護観察下に置かれる。再犯に及んだり、きちんと保護観察所に出頭しないなど、何らかの遵守事項違反があれば仮釈放が取り消され、再び刑務所で服役することとなる。
しかも、あくまで仮釈放まで生きていればという話であり、現実にはそれに至らないまま獄中死する受刑者が多い。2018年にも24人、この10年間で210人が獄中死しており、例年、仮釈放者の数を上回っている。
現時点ですでに服役期間が50年超のものが11人、40年以上50年未満のものも40人おり、高齢化も顕著だ。