曹沖(そうちゅう)は妾腹の子だが、聡明なうえ、容姿にもすぐれていた。ある日、曹操の鞍がねずみにかじられてしまい、死罪に処されると怯えた番人から相談をうける。曹沖は羽織にねずみが開けたような穴をつくり、「不吉なことが起こる前兆では」と父のまえで不安げな表情をうかべた。曹操が「ねずみにかじられたくらいで気に病むことはない」となぐさめたところで鞍の件が報告されたため、番人は笑って許されたという。曹沖はこうして罪に問われた者を救ってやることがたびたびあり、その数は数十人におよんだ。将来を嘱望されていたが、208年、赤壁の敗戦とおなじ年に13歳で亡くなっている。