感情と呼吸形態は相互に関連しているため、呼吸の仕方を変えることで、気分を変えられる。

 たとえば、人が喜びを感じている時には、規則正しく、深く、ゆっくりと呼吸する。これに対して、不安や怒りを感じている時の呼吸は、不規則で、短く、速く、浅くなる。特定の感情に呼応したパターンで呼吸することによって、実際にその感情を覚え始めるのだ。

 なぜ、そうなるのだろうか。

 呼吸のリズムを変えると、リラクゼーションのシグナルが送られ、心拍数が減少し、迷走神経が刺激される。迷走神経は、脳幹から腹部まで伸びる、体の「休息と消化」活動を担う副交感神経の一部である(これと対照になるのが、「闘争・逃走」反応の多くを司る交感神経である)。副交感神経が刺激されると、気持ちが落ち着き始め、気分がよくなり、合理的に考える能力が戻ってくる。

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