東京市は東京高速鉄道との免許譲渡契約で、将来的に建設した地下鉄を無償で譲渡すること、東京地下鉄道と合併することを条件とした。この条件は地下鉄網が最終的に東京市営地下鉄として統合される計画に従ったものだったが、東京高速鉄道はこれを逆手にとり、東京地下鉄道と合併して東京の地下鉄事業を一手に収めようと考えていたのである。
地下鉄のパイオニアを自認する東京地下鉄道はこれに強く反発し、東京高速鉄道との主導権争いが勃発。最終的に敵対的買収を仕掛けて経営権の奪い合いとなり、大きな社会問題となってしまう。
見かねた政府は、東京市や民間企業に地下鉄建設を委ねることはできないと考え、東京市と両社から地下鉄免許を取り上げ、国主導の新組織を設立した。これが帝都高速度交通営団、つまり営団地下鉄である。