シナスタジアとは、共感覚とか共鳴感覚と訳される、ある特殊な知覚現象です。文字や音に色を感じたり、形に味を感じたりする人がもつ感覚で、例えば物理学者のリチャード・P・ファインマンは数式やコードから色を感じたそうですし、『ロリータ』で知られる小説家のウラジーミル・ナボコフは、英語のA(eɪ)とフランス語のA(aː)では微妙に黒の色が違うと語ったそうです。ちなみに「Aを黒」と感じる共感覚者は多く、例えば「英語のAはしっとりとした森の黒、フランス語のAはつやっとした黒檀のような黒」といったふうに捉えているようです。