もうひとつのダークパターンは希少性バイアス、つまり供給が不足している品物に高い価値を置くという人々の傾向を利用するものだ。この傾向は従来型の店舗でも利用されている。ある商品を「限られた期間内のみ」購入可能であると伝える手法などがそうだ。

例えばアマゾンでは、特定の品物の在庫がいくつあるのかを買い手に示すことがある。手芸品などの取引サイト「Etsy」では、すでにその商品をカートに入れている顧客が何人いるかを通知し、もうすぐ購入できなくなるかもしれないと示唆することまでしている。

正確な在庫数量を明示せず、「在庫わずか」の意味の解釈を利用者に委ねているショッピングサイトが多いこともわかった。さらに悪質なものとして、調査を実施した16のウェブサイトでは、表示された在庫数量が完全にでっち上げられていた。特定のスケジュールに基づき、あらかじめ決定されたパターンの繰り返しで在庫が減少していたのである。

多くのネット通販サイトでは、セールや特別提供が一定時間後に期限切れになることを示すカウントダウン・タイマーを使うことで、希少性バイアスを利用している。調査した通販サイトのうち140で、偽のタイマーが見つかった。割り当てられた時間が経過すると、一部のタイマーはあっさりと同じカウントダウンを繰り返したのだ。

ほかのサイトでは、タイマーが時間切れになっても引き続き割引を利用することができた。これらのタイマーは、正当な有効期限のあるセールについて人々に通知するためではなく、人々を急がせて衝動的に購入させるためのものだったのである。

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