新しく発見された病気や、投資回収が見込めないことで製薬会社が医薬品開発をためらうような希少疾患の場合は、既存薬の転用はごく一般的だ。米国では医薬品の5分の1が「適応外」で処方されている。

転用薬はほとんどが偶然の産物だ。例えば、シルデナフィルは「バイアグラ」の有効成分だが、元は狭心症の治療薬として開発されていたものが、治験の段階で勃起不全にも効果があることが明らかになった経緯がある。

また、ボツリヌス菌がつくり出す毒素であるボツリヌストキシンは、最初はまぶたのけいれんを抑えるために使われていたが、現在は脳性麻痺患者の筋肉のけいれん防止や、慢性片頭痛にも処方される。さらに、目の周りに注射するとしわが薄くなることが発見されてからは、ボトックス注射として多額の利益を生み出している。

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