管仲は字を夷吾(いご)といった。
かつて鮑叔といっしょに商売をしていた。
利益を分けるときは、自分が多く取った。
(しかし)鮑叔は(管仲のことを)欲張りとは思わなかった。
管仲が貧しいのを知っていたからだ。
(管仲が)かつて事業を企て(失敗して)困り果てていた。
(しかし)鮑叔は愚かだと思わなかった。
ときというものには、いときと悪いときがあるのをしっていたからだ。
(管仲は)かつて三回戦って、三回とも逃げ出した。
(しかし)鮑叔は卑怯だとは思わなかった。
管仲に年老いた母がいるのを知っていたからだ。
管仲は言う。
「自分を生んだのは父母であり、自分を理解してれるのは鮑君(ほうくん=鮑叔のこと)である。」