度重なる遅延と資金超過に苦しめられる国家間プロジェクトITER(日本・欧州連合・ロシア・米国・韓国・中国・インドが参画する国際熱核融合実験炉)を横目に、民間の核融合炉スタートアップが登場しているのだ。核融合エネルギーの業界団体「Fusion Industry Association」に加盟するスタートアップは21社に上り、数十億円以上の出資を受ける企業も複数社ある。
そんな新興企業を支えてきたのは、シリコンヴァレーのビリオネアたちだ。カナダ、ブリティッシュコロンビア州に本社を構える「General Fusion」は、ジェフ・ベゾスが率いる「Bezos Expeditions」から出資を受けている。
カリフォルニア州に拠点を置く「TAE Technologies」を1998年の設立当初から支えていたのは、マイクロソフト共同創業者である故ポール・アレンだ。2017年にマサチューセッツ工科大学からスピンアウトした「Commonwealth Fusion Systems(以下、CFS)」は、ビル・ゲイツが率いる「Breakthrough Energy Ventures」から支援を受けている。これは、気候危機に立ち向かうスタートアップに特化して出資するヴェンチャーキャピタルだ。