食欲が減退する原因として「スペースフェイス(宇宙顔貌)」と呼ばれる状態もある。重力がないので体液が上昇して頭部にたまり、顔がむくむのだ。宇宙飛行士がときおり訴える視力の異常はこれが原因とされているが、これは同時に味覚の変化も生む。軌道周回中の食事が、地球上でひどい鼻風邪をひいたときのような食事になるのである。この鬱血によって鈍くなった味覚を何とか取り戻そうと、より濃い味を求めるようになったと何人もの宇宙飛行士が報告している。
「宇宙では地球よりも少し多めに砂糖を入れて、コーヒーを甘くして飲むようになりました」