運動器として最も重要な足の機能が弱まると、「ロコモティブシンドローム」と呼ばれる移動機能低下が生じ、それにより筋力及び筋量が低下する「サルコペニア」も併発します。そうなるとさらに移動能力が低下して、サルコぺニアも悪化するという悪循環が生まれます。ロコモティブシンドロームやサルコペニアにより社会活動の範囲が大きく狭まる状態を包含して「フレイル」と表現することもあります。
フレイルは、気力の低下が進んで最終的に心身両面での虚脱症状に陥ることに、特に着目した概念です。このフレイルこそ、現代社会で大問題である認知症に大きく影響していることが指摘されます。すなわち、足をしっかり使って、歩行などの運動習慣を継続することが認知症予防のキーとなるのです。そして、歩行により動静脈の機能も改善することから、循環器・呼吸器などの主要臓器のみならず全身のあらゆる臓器のはたらきが整います。