ペプシコは1等2口・100万フィリピンペソ(4万ドル=約480万円、以下当時のレート換算)、合計500万フィリピンペソ(200万ドル=約2億4000万円)の懸賞キャンペーン「Pepsi Number Fever」を展開しました。当時のフィリピンで一日の法定最低賃金は118ペソ(約570円)で、100万ペソは豪邸を1軒購入できるほどの大金だったそうです。
1等の当たり番号である「349」がキャップに印刷された瓶は、特定の工場で2本だけ特別に製造される予定でした。しかし、ペプシコーラの生産工場で使われているコンピューターの不具合により、「349」とミスプリントされた瓶が80万本も製造されてしまったとのこと。このミスプリントは誰にも気づかれず、1等当選の瓶80万本がフィリピンに送られてしまいました。
当然ながら大量の購入者が「1等が当たった!」とペプシコに殺到することになり、ようやくミスプリントが発覚。
「1等を引き当てた人全員に500ペソ(約2400円)を支払う」と述べました。
購入者はこれに納得せず、マニラ中の政府の建物とペプシのマニラ支社前で抗議活動を開始。
警察は催涙ガス弾を、抗議者は岩や手りゅう弾を投げ合うという状況にエスカレートしました。この衝突で5人が死亡、数十人が負傷したそうです。
ペプシコに賞金の支払いを要求したのは48万6179人で、そのうち2万2000人が「ペプシコの懸賞キャンペーンは詐欺である」と主張。ペプシコが起こされた民事訴訟は689件、刑事訴訟は5200件にのぼるといわれています。