昔は、医学部を卒業後すると、ほとんどの人は進路とする診療科を決めて、母校の医局に入局しました。そのため、消化器外科を選んだ医師は、他の診療科について深く学ぶこともなく、消化器外科の医局員としてのレールが敷かれました。消化器外科の場合、メインの疾患として大学病院でその医師が学ぶのは、胃がんや大腸がんなどになります。

専門領域が細分化されている大学病院では、消化器外科の医師が、ありふれた感染症や糖尿病、高血圧などの内科の病気、捻挫、骨折などの整形外科の分野、ましてやうつ病や統合失調症などの精神科の疾患を学ぶ環境がなかったのです。

そういう環境で育った医師は、飛行機や新幹線のなかで急病人が出ても、消化器以外の疾患はわからないから、自信が持てずに医師だと名乗り出ることもできなくなる。そんなことでは、医師と胸を張って言えませんよね。医局講座制は、このような「専門バカ」を大量生産したと言われています。

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