「私が職を得るためには、コネを使うしかなさそうに思えます。そこで、職業団体の会合にも顔を出したのですが、通行人に小銭を恵んでもらおうとする物乞いになったような気持ちになります。
私はこれまで誰にも頼らず、自分の力ですべてやってきました。むしろ、物事の取りまとめ役を務めるタイプだったのです。そんな私にとっては、『物乞いする』なんてありえない。嫌な言葉だと思う。
実際、私は文字通りの意味で物乞いをしているわけではない。でも、胸の内では、自分が施しを求めているように感じています。私はその職にふさわしい人間ではないと、皆に思われるに違いありません」