まずネコの細胞にネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)が注入された。FIPVとは、数多くのネコが感染する病原体で、致死率は約5%となっている。次に、このネコの細胞にマウスのコロナウイルスから抽出した遺伝子断片が加えられた。この遺伝子には、マウス細胞を識別し、そこに侵入する際に役立つコートタンパク質がコードされている。
それから数時間後、一部のFIPVの粒子において、ネコのコートタンパク質遺伝子がマウスのコートタンパク質遺伝子に置き換えられ、ネコのウイルスが、マウスの細胞に感染できるようになった。
今回の研究は、コロナウイルスが「遺伝子を組み換えることによって、その宿主域(つまり感染できる動物)を容易に変えられること」を示している、と彼は言う。