「コンピュータにはコンピュータにしかできない創造っていうのも間違いなくある」と羽生さんは言います。コンピュータは膨大な量のシミュレーションをすることができるので、「人間が絶対にここの鉱脈は探さない」という場所を見つけ出すこともある。では、人間にしかできない「創造」とはいったい何なのかというと、これは羽生さんによると「評価値が低いものの先」を探ること。コンピュータは、−300点、−400点といった低い評価値の手は選ばないので、その先を考えることはありません。しかし人間は「その十五手先とか二十手先とか、そういう局面になったときに初めてプラスに転じるような、そういう局面をひたすら頑張って掘り下げていくところがある」。羽生さんは、ここに「人間的な創造が潜んでいるのではないかな」と話しました。