ほかの動物と同じで、マウスも2種類の性染色体がある。XXが雌で、XYが雄だ。精子はXかYの染色体をひとつ運ぶ。
では、Xシュレッダーマウスとは何かと言うと、遺伝子を編集して、X染色体をもつ精子をすべて欠陥品にしたマウスだ。「要するに、すべての精子のうち、半分が役に立たないのです」とトーマスは説明する。「発展することがありません。そのため、Y染色体をもつ精子だけが残るので、生まれてくる子孫はすべて雄です」
Y染色体にシュレッダーの指示を書き込んでおくと、その子孫がつくる子も雄になる。そうやって数世代分の繁殖が進むと雄と雌のバランスが大きく崩れ、最終的には子を産める雌がいなくなる。