アジアのミツバチであるトウヨウミツバチ(Apis cerana)が、鳥や水牛のふんを飛び回って集めることに変わりはない。しかも花粉のように後ろ脚ではなく、口で集めるのだ。
そしてコロニーへと戻ると、ふんを巣の入口一帯に斑点のように置く。とんでもないハウスキーピングに見えるかもしれないが、このおかしな行動には実に素晴らしい意味があることを、このほど科学者が明らかにした。ふんの斑点がたくさん置かれたコロニーは、トウヨウミツバチの天敵である大型のスズメバチ(Vespa soror)を寄せつけないのだ。このスズメバチは、米国に侵入して「殺人スズメバチ」とも呼ばれる悪名高きオオスズメバチ(Vespa mandarina)の近縁種である。
Vespa sororの恐ろしさを知っている人なら、トウヨウミツバチの必死さをばかにしたりはしないだろう。体長1インチ半(4cm弱)近くもあるVespa sororは巨大な下あごを駆使し、自身の4分の1ほどの大きさのトウヨウミツバチの頭を素早く切り落とすのだ。