フランスでは、預金供託金庫が管理し、各地方の職業紹介機関やソーシャル・パートナー機関が運営する「個人学習口座」があり、労働者(被用者と失業者のどちらも)はリスキリングのために年間最大500ユーロ(生涯上限5000ユーロ)を受け取ることができる。このプログラムは事業者、労働者、国の共同出資だ。
さらに、フランスの事業者は今回の経済危機を受け、労働省の「部分活動」プログラムに基づき従業員を一時帰休させ、その間、職業訓練を受けさせた場合、一人当たり最大1500ユーロの費用払い戻しを受けられる。つまり、強制的な帰休期間を従業員のスキルアップに使うことで、力強い経済回復を後押ししようというわけだ。
シンガポールも、政府資金でリスキリングを進めてきた長い歴史がある。スキルズフューチャー・クレジット、技能開発税(SDL)、そしてスキルズフューチャー・ジュビリー基金(SFJF)により、25歳以上の全住民が、リスキリングの個人学習口座に年間370ドル相当を受け取ることができる。このクレジットに使用期限はなく、労働者は定期的な給付金を貯めることができる。
シンガポールではまた、中堅社員がリスキリングを受け、テクノロジー部門に再就職できるよう、情報通信メディア開発庁(IMDA)のプログラムの資金的なサポートをするとともに、ネットワーキングを支援している。