植物と根粒菌の関係。これは相利共生の典型的な姿として教科書にも載っていますが、実際は植物が根粒菌を搾取しているほうが実態に近いです。植物は光合成で発生した糖を菌に送り、菌は窒素固定してアンモニアやアミノ酸を植物に渡しますが、植物に肥料を与えて窒素を十分に摂取できる状態にすると、根粒の中にいる菌をプロテアーゼで分解して皆殺しにしてしまうんです。つまり、都合のいい時だけ利用している。
また、菌の種類にもよりますが、根粒菌は共生を一度始めると細胞レヴェルで植物に一体化してしまうため、元のかたちに戻れなくなるものがあります。つまり「共生」を始めた瞬間に、その菌のアイデンティティやキャラクターは損なわれます。お互いが対等に利用しあっている、カクレクマノミとイソギンチャクのような共生関係ではないわけです。