人間に感染するコロナウイルスは6種類ある。そのうち4種は、一般的な風邪の原因の10~15パーセントとしてよく知られている。残る2種は、より深刻な病気を引き起こすSARS(重症急性呼吸器症候群)とMERS(中東呼吸器症候群)である。
新型ウイルスの「2019-nCoV」は、人間に感染するコロナウイルスとしては7つ目となる。これまでの大きな問題は、未知のウイルスであるためワクチンが存在せず、正確な潜伏期間、感染力、および致死率がわからなかったことだ。加えて通常のインフルエンザの季節と重なっていることも、症状による診断を困難にしている。
2002〜03年に発生したSARSは、患者8,096人のうち死亡者は774人(致死率約10パーセント)。12年のMERS(中東呼吸器症候群)は2,494人に感染し、858人が命を落とした(致死率約34パーセント)。今回の「2019-nCoV」の致死率は、いまのところ2~3パーセントほどで推移している。なお、今回の死亡例のほとんどが、糖尿病や心疾患といった基礎疾患をもっていた患者である。