藤井と同じく中学生棋士としてデビュー。20歳で竜王に就いたが、2冠になったのは27歳の時だった。「最初は上位10人にいるかどうかでした。誰と指しても自分の方が優位、という状況じゃないと複数冠にはなれないです」
だからこそ、タイトル初挑戦から一気に2冠へと駆け上がった18歳の力は異質なものに映っている。「AIの影響で勝ってるわけじゃないです。単純に力が違いすぎる」と藤井の実力を認めながら、棋聖戦に敗れたことで見えてきたものもある。「4局指して彼の強さはよく分かりました。第1局で盤を挟んだ時と第4局を終えた後では当然違うわけです。分かってきたことはあるんです」と不敵な言葉をもらした。
「自分は相手や棋戦によって、自信のある戦法を後回しにしたりします。ローテーションをどう構築するか。番勝負は1勝差で勝てばいいので、どうしたら可能性が高くなるかを考えます」。