臨床試験は3つのステージをもつ。フェイズ1は、数十人の健康なヴォランティアを被験者にして、ワクチンの安全性を評価する。それに3カ月かかる。もしも健康なヴォランティアになんの薬物副作用も見られなければ、フェイズ2に進む。そこでは数百人にワクチンを投与するが、理想としては、COVID-19のアウトブレイクを経験した地域で行ないたいところだ。ワクチンがうまく被験者の体を刺激して、抗体をつくらせ、病気を撃退するかどうかのデータを集めるには、6〜8カ月を要する。すべてが順調に見えたならば、フェイズ3では、アウトブレイクの地域で数千人の人々を対象にワクチン投与を行なう。患者を集めることとワクチンの供給になんの問題もなければ、6〜8カ月で終わる。それから米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関が、ワクチン承認の可否を決定するためにすべてのデータをチェックする。それには数カ月から1年を要する。

足し算をしてもらえば答えが出る。候補ワクチンの開発が始まったのは2020年1月なので、ワクチンの一般使用が認められるのは、最短でも21年の夏の終わりになる。それもすべて順調にいった場合の話だ。「このスケジュールを縮めて、1、2年でワクチンを使えるようにするのは、ヘラクレスも真っ青の難行です」

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