社会的アイデンティティ理論によれば、人はみずからのアイデンティティと自尊心を所属集団(性別、人種、宗教、政治的グループ、さらには応援しているスポーツチームなど)から得ている面がある。そのため、その集団に関する好ましいイメージを守ろうという意欲を強く持つ。
ある人がみずからの過去の不正義を突きつけられると、自己イメージが揺らぐのと同じように、その人が所属する集団の過去の不正義を突きつけられると、社会的アイデンティティが揺らぐ可能性がある。そこで、人は、みずからの所属集団が批判されたと感じたとき、自己防衛のために批判を矮小化したり、批判をそらしたりする。