信心深い菜食主義の男が川辺を歩いていると、とあるレストランを見つけた
そのレストランは窓から調理場の風景が見えるという珍しいレストランで
男が何気なくその窓から調理場を覗くと、シェフと見習いが丁度魚をさばこうとしているところだった
男は慌ててレストランへ入って行くと真っ先に調理場に進みシェフにその魚をさばくのを辞める様に言った
「生き物を殺して食べるなんて酷いと思いませんか?仕入れた代金は払いますから
その魚を私に譲ってください 私に譲って頂けるまでこの場を離れません!!」
調理場から出ようとしない男に根負けしたシェフはしぶしぶ代金と引き換えに
その魚を男に譲ってやる事にした
男は喜び、店を出たら早速川にその魚を放してやった
「よしよし、もう人間に捕まるんじゃないよ。神様に感謝して強く生きるんだよ」
そう言うと男は満足げに帰って行った
翌日もそのレストランの窓を何気なく覗くと魚をさばこうとしているところに出くわし
男はまたお金を払ってその魚を引き取り、川へ逃がしてやった

そんなことが一週間ほど続いたある日、魚が捕れなかったレストランは店を休んでいた
すると向こうから男がこちらへやってくるのを見たシェフが見習いに言った
「またあの男が来た。おい!何か生き物を持ってこい。さばこうとすればきっと金をくれる」
見習いは大急ぎで近くにいた猫を持って来るとシェフに渡した
シェフは包丁を掴み、さばこうとすると男が慌てて飛んできて言った
「その猫をどうする気だ?何?お客さんの要望?馬鹿な!そんなことは絶対させない!」
そう言うと男はお金を渡し、その猫を引き取った

「よしよし、もう人間に捕まるんじゃないよ。神様に感謝して強く生きるんだよ」
そう言って男は猫を川へ逃がしてやった

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