俺は、他人からの評価は気にしない。
サッカーの場合、試合の出来をよく採点されるけれど、そういう数字も気にしない。俺が見ているところは、採点している人と違うからだ。
例えばJリーグの試合で、俺がグランダーの速いパスを出して味方の選手が受け取れなかったとする。これは普通に見ていたら、「なんで、あんなところにパス出すんだよ」っていうことで、パスミスとして俺のマイナス点になる。
でも、俺はまったく違うことを考えている。
日本代表や世界レベルを意識し、パスの「質」を追求して出しているから、あえて届くか、届かないかのギリギリのボールになる。ゆっくりしたパスを出せば繋がるかもしれないけれど、それじゃ世界では通用しない。代表では、みんな意識が高いからそういう速いパスも繋がるけれど、走る方もJリーグのレベルで「届くだろう」という感じで走るから、そのボールに届かない。
仮にパスが届かなくても、自分の中ではすごく重要なトライだと考えて出していることもある。だから、失敗しても何か特別な感覚を掴めれば、それが一番良いプレーだと思うこともあるのだ。そもそも、そういう厳しいパスを出し続けなければ、世界との戦いで決定的なパスは出せない。
それは、採点している人にはわからない。
それに、採点している人にも好きな選手、嫌いな選手がいる。好きな選手の方には自然と気持ちが入るので点数も甘くなりがちだ。俺も褒められて嫌な気持ちはしないけど、当たり前のプレーをして褒められても妙な感じだ。
だから、採点を含めて他人からの評価はまったく気にしない。人の目を気にするより、大事なことは、自分を信じて、プレーに集中するということだ。