ドイツ人の、今40代くらいの世代の人たち(彼女の親の世代)は、アニメについて2度びっくりさせられた経験があるのだという。

1度目は、彼らがまだ子供の頃。

その世代の人たちは、子供の頃、みんなテレビで「アルプスの少女ハイジ」を見ていたらしい。もちろんドイツ語の吹き替え版で。これはもう、ほとんど全員見てたらしい。

そして当時は、これを作ったのはなんの疑いもなくドイツ人だと思っていたのだそうだ。当時は、日本人がアニメーションを作るなんていうことは誰も知らなかった。ましてや、「アルプスの少女ハイジ」という彼らにとって馴染み深い国民的な童話を、外国人が(それもアジア人が)作るなんていうのは想像すらつかなかった。

だから、だいぶ後になって(もう大人になってから)、それを作ったのが実は日本人だったというのを知らされ、たいそう驚いたというのだ。

2度目は、彼らに子供が生まれてからのこと。

それから長い歳月を経て、彼らも大人になり、子供ができるようになった。

その子供たちが成長すると、やがてテレビで「アルプスの少女ハイジ」を見るようになった。「アルプスの少女ハイジ」は、ドイツでも人気番組だったから、定期的に再放送されていたのだ。

で、それを見た大人たちは、ふいに、自分が昔それを作ったのが日本人だったというのを知らされて驚いたことを思い出した。そうして、かつての自分と同じように、子供たちを驚かせてやろうと思ってこう尋ねたのである。

「ところでおまえ、このアニメを作ったのって、一体どこの国の人か知ってるか?」

しかしそこで、彼らは再び驚かされることになる。というのも、子供たちは決まってこう答えたからだ。

「そんなの知ってるに決まってるだろ? ニホンジンだよ! ハヤオミヤザキ以外にこんなアニメは作れないよ!」

今の子供たちにとって、アニメやゲームを作るのが日本人だというのは、もはや周知の事実だったのである。ドイツ人の(特に子供の)日本に対する認識は、ここ20年ほどで劇的に変わったのだそうだ。

ただ、それを今の大人たち(40代以上)は、やっぱり知らされてなかった。だから、彼らは、自分たちの子供が日本についてそんなに詳しいということにもまた、驚かされたのである。

そうして彼らは、「アルプスの少女ハイジ」が実は日本人が作っていたのだということを知ってまず驚き、次に、子供たちがそれを当たり前のように知っていたことで再びびっくりさせられたのである。

更新情報知らせます はい 不要