マークとの採用面接に話を戻そう。それは今まで私が経験したどんな採用面接とも違っていた。履歴書について聞かれることはなかった。前職についても、職務に取り組む心構えについても、聞かれなかった。マークはメールの歴史、コラボレーション・ソフトウェア、コンピュータ・ネットワークの未来といったテーマについて、次々と質問を浴びせてきた。 私はそうした問題の専門家だった。それまでの数年、その分野でパイオニア的製品の開発に携わっていたからだ。しかし私が驚かされたのは、たった22歳のマークがこんなにコンピュータ・ビジネスの歴史に詳しいことだった。私はこれまでとびきり優秀な若者にたくさん会ってきたが、マークのような若きテクノロジー歴史家には、その後も会ったことがない。マークの豊富な歴史的知識は私を驚かせたが、レプリケーションなどコンピュータ・テクノロジーそのものに関するひらめきも鋭く、かつ的確なものだった。面接が終わって私は兄に電話し、「マーク・アンドリーセンと話したが、僕が会った中で最高に頭がいいと思った」と言った。