著者による研究。MITの学生センターに、キャラメル売り場を設置して、時間によって無料にしたり、一個1セントで販売したりした。その結果、無料の時には、1時間に平均して207人の学生がキャラメルを持って行った。一方、有料の時には、58人がキャラメルを買った。有料の時、学生一人当たりのキャラメルの数は、平均3.5個だったが、無料になると逆に減って、1人平均1.1個だった。これは、値段がゼロになると商品の魅力も増すが、同時に学生は他の人の取り分も考えるようになり、自制したと思われる。
著者の研究。マサチューセッツ州ケンブリッジのビジネス街で露店を設置して、「お金の無料で上げます」という張り紙をして、1ドル、5ドル、10ドル、20ドル、50ドルの紙幣を店に並べる。並べた紙幣が1ドルだけの時は、露店の前を通った人の1%のみが立ち止まって、店の様子を見た。これは紙幣の額が上がるにつれて、立ち止まる人も増えた。しかし、たとえ50ドル札を並べた時でも、お札を持っていったのは通行人の19%に過ぎなかった。お金も持って行った人の大半は、「何か署名が必要なのか?」「本気か?」「何かの落とし穴があるのでは?」などと言いながら疑心暗鬼の様子だった。
著者の実験。「太陽は赤い」「ラクダは犬より大きい」という当たり前の文章を被験者に見せて正しいかどうかを尋ねたところ、被験者の100%が正しいと答えた。しかし、別の被験者に、この文章の出典が共和党か、民主党か、P&Gのいずれかだと伝えると、いずれの場合も、被験者は文章に疑問を持つようになった。例えば、「太陽は黄色い時もある」「ラクダの子供より大きい犬がいるかも」のように、必ずしも文章を信じなくなった。