人類が産業革命以降になって技術革新を幾何級数的な速度で実現することができた理由も人口と経済の関係で合理的な説明をしている。
「卓越したアイデアが毎年人口十億人当たり一つ生み出されると仮定すると、紀元前三十万年にはホモ・エレクタスの総人口は三十万人だったため、そうしたすばらしいアイデアは1000年ごとに生み出されていたことになる。産業革命が幕を開ける1800年には、世界には10億人の人口がいたため、イノベーションの発現率は上昇し、驚くほどすばらしいアイデアが毎年一つ生まれており、1930年には、世界を一変させるアイデアは六ヶ月ごとに生まれていたということだ。現在、地球上には六十億の人口がいるため、二ヶ月ごとにこの種のアイデアが生み出されているはずである。そうしたアイデアには、複式簿記から輪作まで、あらゆるものが含まれうる。」
人口が増えたとき、市場経済を発達させた国から産業革命は進展した。この革命は科学の天才が生み出したものではなく、人々が単純な経済のインセンティブに合理的な反応をした結果であったというわけだ。