次のような「くじ」があった場合、(イ)と(ロ)でどちらを選ぶか、あるいは(ハ)と(ニ)でどちらを選ぶかの実験がある。
(イ)25%の確率で6000円が得られ、残りはハズレで何も得られない。
(ロ)25%の確率で4000円が得られ、25%の確率で2000円が得られ、
残りはハズレで何も得られない。
実験結果は、(イ)が18%、(ロ)が72%で(ロ)が多かった。
(ハ)25%の確率で6000円損をし、残りはハズレで何も損をしない。
(ニ)25%の確率で4000円損をし、25%の確率で2000円損をし、
残りはハズレで何も損をしない。
実験結果は、(ハ)が70%、(ニ)が30%で(ハ)が多かった。
これらは、どれかに当たって得や損をする確率はいずれも25%で同じであり、かつトータルで見れば得や損をする金額も同じであるが、得をする(イ)(ロ)の「くじ」では、4000円か2000円かいずれかの得をする「くじ」が金額は少なくても当たる確率が高く、多くの人に選ばれた。これはその方が6000円得をする「くじ」より価値が高いと判断されたことを示している。即ち、それぞれ原点からの直線を考えると傾きが大きく価値が高いと感じられたのである。
(ハ)(ニ)の「くじ」では6000円損をする「くじ」の方が損失をこうむる確率が低く、4000円か2000円損をする「くじ」より価値が高いと判断されたことを示している。即ち、傾きが小さく価値が低いと感じられたのである。
しかし(イ)(ロ)の場合の少数意見の18%に比べて(ハ)と(ニ)の少数意見が30%と多いのは、損失するとしても大きく損をしたくないと考える人が増えているということであろう。