中国の浙江省や湖南省などの一部地域で深刻な電力不足が発生しているが、実はそれはまさに、市場原理を無視した政府の行政干渉に対する電力会社の反抗の結果である。
その経緯はこうである。発電の原料となる石炭の価格が暴騰して採算が合わなくなった電力企業は電力供給料金の値上げをしようとしたが、政府の行政命令によって止められ、その結果、電力企業が発電すればするほど赤字になるという現象が起きた。そこで多くの電力企業は、「設備の点検・修理」と称して発電機能の一部を停止させて赤字を減らそうとした。
13日の「中国青年報」が報じたところによると、全国の各地では、半分以上の発電設備を「点検」に回す企業まで出ているという。まさに集団的反抗の広がりである。
発電企業にしてみれば、このような非常措置に踏み切るのは市場の原理に沿った当然の自己防衛策である。しかしその結果、多くの地域で電力不足という深刻な事態が起きてしまい、中国経済と経済運営の責任者である当局の両方が苦しむことになっている。力ずくで市場原理をねじ伏せようとする政府のやり方は完全に裏目に出たのである。