・「このテストは知能を測定するものだ」と告げると、白人学生は黒人学生よりもずっとテストの成績が良かった。ところが、「知能考査とは関係ない、単なる調査用の素材だ」として同じテストを受けさせると、両者の成績にはほとんど差が出なかったのである。そのような違いの原因を「ステレオタイプ脅威」と呼んだ。黒人の学生は、自分たちのグループに関するステレオタイプ脅威に直面する状況下に置かれると、プレッシャーを感じてテストの成績が落ちる(この場合、「自分たちは白人よりも知能で劣る」という画一的な考えや思い込みが黒人学生たちに浸透している状態にあり、その思い込みが脅威となって黒人学生のテストに対する緊張を招いてしまう)。