我々が「サケ」と呼ぶ魚が海まで戻らず、そのまま淡水の湖沼に留まると、白身の「マス」になるということを実は本書で初めて知った。マスは白身で、サケは赤身だが、サケは海でエビやカニなどを食べるため、その色素が身体に入り赤身になるそうである。

スーパーで鮭の切り身を見ると、「チリ産」と表記されてものをよく見掛ける。だが、驚いたことに、サケはもともと南半球に生息していなかった魚なのだ。では、なぜ、チリ生まれのサケが存在するのか。人間が養殖場で育てているのである。

しかし、養殖場でサケにエビやカニを食べさせる訳にはいかず、そのままでは白身のままだ。そこで、普通の赤身のサケを求める消費者(一番の大口はもちろん日本人だ)のニーズに合わせて、赤身となる色素を加えた飼料を与えているのだそうである。なお、急いで付け加えておくが、本書で取り上げられた養殖場でサケに与えている飼料は安全性にこだわるため、外注はせず自分たちで生産し、使われている色素も日本の飲料に含まれているものと同じものだということだ。

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