・分裂病の場合に失われるのは、はっきりとした真と偽の識別より、日常われわれがよく出会う多分真実であるものと多分真実でないものとの間の識別である。
・分裂病患者は、健常者と比較して適切な比喩の創作が苦手、できないということが明らかになった。
・分裂病者は新しい未知の問題や状況での適応が困難であり、思考に柔軟性がない。「~のようなもの」として応用・適用して理解できない、つまり知識を移転できない。
・分裂病者の言語世界の構造は「サンタグム的構造が貧困であるのにパラディグム的連関が異常に肥大している」のである。ここから、分裂病者の妄想物語はパラディグム的連合による並列的列挙という様相を帯びるようになる。彼等の妄想は時間の線上での意味するものの逐次的展開という方向=サンダグム的連関の方向=をたどることはない。分裂病者の述語的同一視(同一の述語にもとづいて同一性を認める)の傾向もここから派生する。述語的同一視とはたとえば、次のような認識である。「処女マリアは処女である。私は処女である。だから、私は処女マリアである」。